こんにちは、ファイナンシャルプランナーのマサです。
iDeCoはサラリーマンでも節税ができると「iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリットを解説」でも記事にしました。
[https://shining-life.site/ideco-merit/]
このような大きなメリットがあるので、すでに加入している人は多いんじゃないでしょうか。
しかし「 【注意】iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット」でも説明したとおり、iDeCoは始めると原則60才まで途中でやめることはできません。
[https://shining-life.site/ideco-demerit/]
もし転職や退職をしたら、今加入している分はどうしたらいいのかご存知ですか?
今回はiDeCo加入者が転職(退職)したときにどうするのか、必要な手続きや気を付けるポイントをみていきます。
今入っている確定拠出年金の種類を把握していますか?
確定拠出年金には【企業型】と【個人型】があります。
企業型は、掛金を一部または全部を会社が拠出してくれて税制優遇もあり、お得感があります。
しかし実施している会社としていない会社があります。
個人型は、運用管理機関を自分で選べることや、年末調整で還付金があることでお小遣い感覚でお金が増えた気がします。
今加入しているのが企業型なのか、個人型なのかで、手続きの仕方が変わります。
今後は掛金を支払わない場合
もし転職(退職)を機に、掛金の支払いをストップする場合は「資格喪失届」を提出することで、運用方法を選択するだけの運用指図者となることもできます。
しかし運用指図者となった場合でも、口座管理手数料は60歳までかかり続けます。
【企業型】確定拠出年金に加入している場合
現在、企業型の確定拠出年金に加入している場合は、転職先の会社でも企業型があるかどうかで変わります。
転職先に企業型がある場合でも、個人型(iDeCo)への移換が可能なのは規約で認められているときに限られます。
企業型 ⇒ 企業型
転職先へ「前の会社で企業型確定拠出年金に加入していた」と伝えればOKです。
必要な手続きは、転職先の担当者が教えてくれるのでここでは省略します。
企業型 ⇒ 個人型(iDeCo)
転職先に企業型の確定拠出年金がない、もしくはあっても規約で認められている場合にはiDeCoへ移換することになります。
1.運営管理機関を選んで移換をしたいと伝える
2.選択した運営管理機関へ書類を提出する
1.運営管理機関を選んで移換を伝える
転職元で積み立てているお金の運用を管理する運営管理機関を選択します。
選んだ運営管理機関へ移換をしたいと伝える。
ネット証券であればiDeCo申込書の請求画面で企業型からの移換を選択することが多いようです。
2.選択した運営管理機関へ書類を提出する
運営管理機関へ移換をしたいと伝えるとiDeCoの申込書がもらえます。
(ネット証券の場合は送られてきます)
その申込書と個人別管理資産移換依頼書と個人型年金加入申出書と事業主の証明書(第二号被保険者のみ)を提出(郵送)します。
これらの書類は運営管理機関からもらえます。
手続き完了後
加入審査が完了したら、転職元の企業型確定拠出年金から資産が移されます。
その時には、国民年金基金連合会から以下の書類が送られてきます。
- 個人型確定拠出年金確認通知書(今後も掛金を支払う場合のみ)
- 個人型年金移換完了通知書
【個人型】確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合
今iDeCoに加入していたとしても、転職先に企業型確定拠出年金があるときはiDeCoを継続できるのは規約で認められている場合に限られます。
転職後にiDeCoのままだとしても運営管理機関へ提出しなければいけない書類があるので要注意です。
個人型(iDeCo) ⇒ 企業型
転職先に企業型の確定拠出年金がある場合はすみやかに加入者資格喪失届を運営管理機関へ提出しなければなりません。
加入者資格喪失届は運営管理機関からもらえます。
企業型確定拠出年金への移換については、転職先へ「iDeCoから移換したい」と伝えればOKです。
手続き方法や必要書類は、すべて教えてもらえるのでここでは省略します。
個人型(iDeCo) ⇒ 個人型(iDeCo)
すでにiDeCoに加入している人は転職(退職)しても移換の必要がありません。
ですが、運営管理機関へ提出しなければいけない書類があります。
提出書類は退職後の被保険者種別によって違います。
【第1号被保険者】
国民年金のみに加入している人(自営業・無職・学生など)
【第2号被保険者】
厚生年金に加入している人(会社員・公務員・教職員など)
【第3号被保険者】
厚生年金の加入者に扶養されてる配偶者(専業主婦・専業主夫)
第1号被保険者になる人
第1号被保険者になる人がiDeCoを継続するためには、国民年金保険料を納めていて免除を受けていないことなどが条件になります。
運営管理機関からもらえる加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)を提出してください。
月々の掛金額の記入欄に支払いたい金額を記入してください。
掛金の支払いをストップしたい場合は加入者資格喪失届を提出して運用指図者になることができます。
第2号被保険者になる人
運営管理機関からもらえる加入者登録事業所変更届と事業主の証明書を提出してください。
月々の掛金額を変更したい場合は加入者登録事業所変更届の記入欄に支払いたい金額を記入してください。
掛金の支払いをストップしたい場合は、加入者資格喪失届を提出して運用指図者になることができます。
第3号被保険者になる人
運営管理機関からもらえる加入者被保険者種別変更届(第3号被保険者用)を提出してください。
月々の掛金額の記入欄に支払いたい金額を記入してください。
掛金の支払いをストップしたい場合は、加入者資格喪失届を提出して運用指図者になることができます。
転職(退職)のときの注意点
転職(退職)でも自分の資産を移し替えて持ち運びできることを、「ポータビリティ」とも呼ばれます。
原則60歳までは引き出すことが出来ない資産なので、このような仕組みができました。
しかしポータビリティにも注意点があります。
手数料がかかる
企業型確定拠出年金からiDeCoへの加入や、運営管理機関の変更などで資産を移換するには手数料がかかります。
手数料の金額については、運営管理機関によって違うので確認しておいてください。
掛金の支払いをストップして運用指図者になったとしても、口座管理手数料はかかり続けます。
退職後6か月以内に手続きをしないとデメリットがある
企業型確定拠出年金に加入していた人が、転職(退職)してから6か月以内に手続きをしなかったときは、国民年金基金連合会へ資産が自動移換されます。
自動移換されるとデメリットがあります。
- 資産が運用されない
- 管理手数料がかかる
- 自動移換中は通算加入者期間に入らないので受給年齢が遅くなることもある
- 掛金の拠出ができない
- 給付の請求ができない
自動移換者を減らすために、新たにiDeCoの加入者になったことが確認できた人は、移換の申し出をしなくても移換が行われるようになったようです。
ですが、他人の口座へ誤って移換しないようにするために自動移換の制度があるので、退職時にはほったらかしにせずしっかり手続きをしておきましょう。
運用指図者の期間は退職所得控除の勤続年数に入らない
転職(退職)のときに加入者資格喪失届を提出して、掛金の支払いをとめる人もいてるかと思います。
掛金の支払いをとめたら「運用指図者」になります。
掛金の支払いをとめて今まで積み立てたiDeCo(確定拠出年金)口座内の資産だけで運用している人を運用指図者といいます。
「【あなたは加入できる?】iDeCoは全員が加入できるわけではない」の記事で説明した加入条件から外れていなければ、もう一度掛金の支払いをスタートすることができますが、掛金の支払いをしていれば運用指図者ではなく加入者となります。
この運用指図者の期間は、確定拠出年金を一時金として受け取るときの退職所得控除額を計算するときの、勤続年数にカウントされなくなります。
加入期間が15年あっても、運用指図者の期間が1年あれば15年ー1年=14年が勤続年数として、控除額が計算されるということです。
メリットを最大限生かすためには、月々の掛金が無理のない範囲で積み立てていくことをオススメします。
退職や就職をするときは必要な手続きがないか調べましょう
転職(退職)や就職で手続きを忘れたり、めんどくさいからとほったらかしにしないようにしましょう。
せっかく積み立てている資産が目減りしたり、受給年齢が遅れるなどの可能性がでてきてしまいます。
不安定な老後のために資金づくりとして始めたことなのに、予定通り受け取れなかったり資産が大きく目減りしていては本末転倒です。
企業型であれば勤務先へ、個人型であれば運営管理機関へしっかりと確認してくださいね。